急成長しているAI用の半導体メーカーとして、エヌビディア (NVIDIA) が注目されています。
ChatGPTに代表される、「生成AI」が急激な成長を遂げることで、生成AIのサービス化や開発に欠かせない高性能なGPU(画像処理用演算プロセッサー)の需要が飛躍的に高まりました。
その波に乗って、急成長したのが、米半導体メーカーのエヌビディアです。
同社は2024年に売上高で米インテルを抜き業界トップに立つ可能性が高いと言われています。
そして、そのエヌビディアをここまでの巨大企業に育て上げたのが、CEOのジェンスンファンです。
ジェンスンフアンは、その卓越したビジョンとリーダーシップによって、現代のテクノロジー業界において最も影響力のある人物の一人となっています。
彼の言葉は、多くの起業家やビジネスリーダーにインスピレーションを与え続けています。
ジェンスン・ファン名言集
(エヌビディアという)組織は完全にフラットで、階層はほとんどありません。私の仕事は経営することではなく、リーダーであることです。リーダーであることで、エヌビディアにいる素晴らしい才能を持つ人材が才能を十分に発揮できるようになるのです。
私の直属として二十数人の部下が働いています。彼らは全員がリーダーシップと優れたインスピレーションを持ち、そしてものごとの優先順位が基本的に私と一致しています。もちろん違うこともある。その調整こそが私の仕事なのです。その時の考え方はこうです。「エヌビディアがやりたいこと」ではなく「エヌビディアがやるべきこと」を選ぶのです。
ChatGPTはAIがiPhone(ほど世界を変える製品)になった瞬間だ
未来は、1つのA.I.ではなく、たくさんのA.I.を持つことだと思います。私たちは、自分だけのA.I.を持つことになるでしょう。
ソフトウェアが世界を食っているが、AIがソフトウェアを食っていく
スティーブジョブズのTシャツのように、ジェンスンフアンは革ジャンばかり着用しています。
それについて聞かれると、
「色について考えなくていいからだ。意志決定を減らせるからね」
と話しています。
私たちは、まったく新しい世代のコンピューティングが始まる場所にいます。60年間、新しく発明されていないことが大きな問題なのです
誰もプログラミングする必要がないようなコンピュータテクノロジを開発することが自分たちの仕事であり、人間の言葉がプログラミング言語となったことで、いまや世界中の誰もがプログラマになりました。これこそAIが起こした奇跡です。
私たち人間の頭脳は世界一の並列コンピューターなんです。見て、聞いて、匂いをかいで、考えてということを同時にできる。しかも、異なる考えを頭の中で同時進行させることができる。
人間はいくらでもチャンスに遭遇します。企業もそうです。コンスタントに、絶えず出会っていると言ってもいい。
AIがあらゆる産業に影響を与えることは、非常に明確です。
過去10年は『パソコン』の時代だった。ここで言うパソコンは、Windowsパソコンとほぼ同義だ。今それが変わろうとしている。Windowsパソコンではない、真の意味での『パーソナルコンピューティング』の時代がやって来る。
未来はいつものように連続的に展開します。それ自体が本当に断絶しているものはありません
1920年代には、水がジェネレーターに入り、直流電力が作られていました。いまは電子がジェネレーターに入ると、知性が出てきます。
コンピュータ業界は、加速されたコンピューティングとジェネレーティブAI(生成AI)という2つの移行を同時に体験している。
誰もプログラミングする必要がないようなコンピュータテクノロジを開発することが自分たちの仕事であり、人間の言葉がプログラミング言語となったことで、いまや世界中の誰もがプログラマになりました。これこそAIが起こした奇跡です。
AIは将来非常に重要になる。われわれの将来の収益は現在の10倍になるだろう!
-これは2010年ころの発言だそうです。
AIは人間の仕事を奪うのではなく、人間の仕事をより良くすることができる。
機敏な企業は AI を活用し、地位を高めるでしょう。そうしないと企業は滅びるだろう。
世界のあらゆる大手企業が当社のソフトを使うようになるだろう。(ソフト関連の)年換算売上高が10億ドルに育ったが、長期的に重要な事業になる可能性が高く、まだ始まったばかりだ。
もう一度起業しろと言われたら絶対やりたくない。(エヌビディアを創業するのは)想像よりも100万倍難しかった。
当時、私たちがその痛みや苦しみ、そして自分がどれほど傷つきやすいか、どれほどの試練に耐えなければならないか、不愉快さや恥ずかしさ、うまくいかないあらゆることに気づいていたら、誰も起業なんてしなかっただろう。まともな人間なら誰もやらない。
現在の携帯電話は、昔の電話と比べて100倍豊かでしょう。クルマもきっとそうなります。
クルマというものが、単純にA地点からB地点に行くための移動手段ではなくて、『居たい場所』へと変わる。だからこそ、自動車産業の将来というのは、自動車メーカーにとって非常にエキサイティングだと思います。
新しいコンピューティングは単にチップを設計するだけでは解決することはできません。
ネットワーキングからスイッチング、コンピュータの設計方法、それにチップ自体、その上にあるすべてのソフトウェア、それを統合する手法まで。これはコンピュータ産業の完全な再発明なので簡単なことではないのです。
毎朝、わたしは毎日、今日が初日だという気持ちで目覚めます。実際、毎日、誰もやったことのないことをやろうとしているわけです。脆い側面もあります。常に失敗の可能性はあるわけですから。いまもまったく新しい事業を始めようとしていて、その会議をしていたところです。どうすれば正しくできるのか、まだわかっていません。
わたしたちが使う言葉は、創造とか向上とか加速するとか。あなたたちが使う言葉は、標的とか抑制とか。
コンテンツが増えれば増えるほど、ビジュアルへの興味が高まり、より多くのプロセッシングパワーが必要になる。
とフアンは2007年にフォーブスに語っていた。
情報は組織の上から下へ流れないといけないわけではありません。メールやテキストのような道具がなかった“ネアンデルタール期”と違って。情報は今日もっと速く流れます。従って、情報がトップから下へと通訳されていく指揮命令系統のようなものは必要ないのです。フラットなネットワークによってわたしたちは迅速に適応することができます。技術の速い変化に合わせるためにもそれが必要です。
NVIDIAの技術が進んできた道を振り返ると、古典的にはムーアの法則の通り、(半導体の集積率は)数年おきに2倍になっていきました。この10年でいえば、AIは百万倍くらいになりました。ムーアの法則よりはるかに速い。指数関数的に加速する世界に住んでいるなら、トップダウンで一段ずつ情報を伝えるなんてやっていられません。
コンピューターグラフィックスでシーンを明るくするために使う画像処理は、医療機器の画像処理と変わりません。これらはすべて非常によく似た数学です。それで、私たちはゆっくりと体系的に領域を広げていったのです。
いつの日か、家庭、オフィスビル、倉庫、店舗、農場、工場、病院など、地球上に何兆ものAI機器や機械が溢れるようになるでしょう。実際、建物そのものがAIとなり、その周りをAIが動き回るようになるでしょう。これらのAIは、その場所で感知し、推論し、行動する。
それでは最後に、国立台湾大学の卒業式(2023年5月27日)で行ったスピーチからの興味深い発言を紹介しますね。
ジェン・スン・ファンのスピーチ~国立台湾大学の卒業式(2023年5月27日)で
AIは計り知れないチャンスを開きました。機敏な企業はAIを活用し、その地位を高めていくだろう。そうでない企業は滅びるだろう。今日ここにいる多くの起業家たちは、新しい会社を立ち上げ、これまでのあらゆるコンピュータ時代のように、新しい産業を創り出すでしょう。
AIは、これまで存在しなかった新しい仕事を生み出すでしょう。データエンジニアリング、プロンプトエンジニアリング、AI工場運営、AI安全エンジニアなどです。これらは以前には存在しなかった仕事です。自動化されたタスクによって陳腐化する仕事もあるでしょうし、確実に、AIはあらゆる仕事を変えていくでしょう。
あなたより前の世代が成功するためにテクノロジーを取り入れたように、すべての企業、そしてあなたも、AIを活用することを学び、AI副操縦士を味方につけて驚くべきことをしなければなりません。AIに仕事を奪われるかもしれないと心配する人がいる一方で、AIの専門家である人はそうなるでしょう。
ジェン・スン・ファン氏の人生と経歴
ジェン・スン・ファン氏は、1963年2月17日に台湾の台南市で生まれました。
幼い頃に家族と共にアメリカ合衆国に移住し、オレゴン州で育ちました。
人生と教育
出生
ジェン・スン・ファン氏は1963年2月17日に台湾の台南市で生まれました。
移住
幼少期に家族と共にアメリカ合衆国へ移住しました。
教育: オレゴン州立大学で電気工学の学士号を取得し、その後スタンフォード大学で電気工学の修士号を取得しました。
初期のキャリア
ジェン・スン・ファン氏は、半導体業界でのキャリアをスタートし、AMD(Advanced Micro Devices)やLSI Logicで働きました。
その後、1993年に、クリス・マラコウスキー(Chris Malachowsky)氏とカーティス・プリーム(Curtis Priem)氏と共にNVIDIAを共同創業し、社長兼CEOに就任しました。
当時、彼は30歳でした。
NVIDIAの発展
NVIDIAは、グラフィックス処理ユニット(GPU)の開発で有名になり、特にゲーミング業界やデータセンター、AI(人工知能)、自動運転車などの分野で大きな影響力を持つ企業へと成長しました。
リーダーシップ
ジェン・スン・ファン氏は、創業以来一貫してNVIDIAのCEOを務め、同社のビジョンと戦略を牽引してきました。
彼のリーダーシップの下、NVIDIAは技術革新と市場拡大を続け、PCゲーム、人工知能、データセンターなど、様々な分野でGPUの利用を促進してきました。
フアン氏は、その先見性と革新的な技術力から、テクノロジー業界の最も影響力のある人物の一人として評価されています。
主な功績
- GPUの汎用性を提唱し、PCゲーム以外の分野での利用を促進
- 人工知能分野におけるGPUの重要性を認識し、関連製品の開発に注力
- データセンター向けのGPU事業を立ち上げ、クラウドコンピューティングの普及に貢献
受賞歴
2008年:フォーチュン誌「ビジネスパーソン・オブ・ザ・イヤー」
2016年:タイム誌「世界で最も影響力のある100人」
2019年:IEEEコンピュータソサエティ「チャールズ・バベッジ賞」
その他
慈善活動にも積極的で、スタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校などに多額の寄付を行っています。
2024年5月現在、フアン氏の純資産は1006億ドルと推定されています。
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